「土木の公務員の仕事内容はどんな感じだろう?」と気になっていませんか?
少しだけ結論を言うと、土木の公務員は工事を発注する立場になります。
つまり、民間事業への監督業務が主な仕事内容です。
でも、公務員にも担当する土木分野は多くあり、部署によって多少は仕事内容が変わることもあります。
そこで本記事では「土木の公務員の仕事内容」と併せて、「市役所にある土木部署」を紹介します。
さらに「公務員のメリット」や「きついところ」も解説するので、ぜひ参考にしてください。
ちなみに、本記事の内容は実際に土木の公務員として働く僕の友人の話を基に解説しています。
その友人は、土木の公務員の中でも結構レアな仕事内容ですので、かなり参考になると思います!
それぞれの仕事内容を紹介しながら、後半では「公務員になる方法」も紹介しているので、最後まで読んでいただければ幸いです。
土木の公務員の仕事内容
土木の公務員の仕事内容は、主に土木工事の発注と現場の管理・維持になります。
たとえば災害復旧なら、以下の流れで工事を発注します。
- 現場の状況を確認
- 施工方法の検討
- 予算を出す
- 民間事業へ発注
あとは発注の際の書類を作成したり、現場では受注者との打ち合わせや施工状況の確認のための立ち合い検査なども行います。
そして工事が終わったあとも「構造物が劣化してないか?」や「崩壊の恐れがないか?」の管理も仕事になります。
つまり、土木の公務員は実際に現場で作業するわけではありません。
現場での本格的な作業は受注者である民間事業へ任せて、土木工事の発注と管理や維持が主な仕事内容です。
ちなみに町中の構造物の多くは、土木分野に関係しています。
要するに、土木の公務員は住民の安全を守る仕事と言えるでしょう!
市役所には多くの土木部署がある
多くの場合は、市の職員として市役所の土木部署に配属されることになるでしょう。
そして市役所には、地域にもよりますが非常に多くの土木部署があります。
参考までに土木部署を以下に記載します。
- 道路維持課
- 道路建設課
- 公園河川課
- 上下水道課
- 都市計画課
- 市街地整備課
でも部署が違ったとしても、工事の計画から発注、そして現場の立ち合い検査や管理・維持という基本的な仕事は同じです。
ただ、工事する土木分野に多少の違いがあります。
ここから簡単にではありますが、それぞれの土木部署の仕事内容を紹介していきます。
道路維持課
道路維持課とは、名前の通り道路を維持するための工事をする部署です。
具体的には、以下のようなことを検討します。
- 渋滞を減らすために車線を増やす
- 事故防止のためにカーブミラーを設置する
- 排水設備を設置する
- 信号機を付ける
つまり道路の新設ではなく、既存の道路を維持しつつ、より安全性や便利さを向上させるための設計をします。
たとえば、朝の通勤ラッシュに渋滞する道路が、1車線から2車線になっていることがありますね。
他にも、いつも右折車線ばかりが渋滞している道路の右折車線が増えていたりなどがあると思います。
そのような工事は、すべて道路維持課の職員の仕事ということです!
道路建設課
もうご存知かもしれませんが、道路建設課は道路の新設を検討する部署です。
道路を新設する際の周辺調査や測量などを行い、図面を作成していきます。
つまり町中に新しい道路ができているのは、道路建設課の職員のおかげなのです。
公園河川課
公園河川課は、公園と河川に関する工事を担当する部署です。
遊具の設置及び、公園を作る予定地の検討もしていきます。
もちろん遊具のトラブルによって、子どもがケガしないように管理する責任もあります。
そして公園河川課は、併せて河川の工事も担当します。
河川は災害復旧として護岸工事を行うことが多いでしょう。
なので、大雨や台風が過ぎ去ったあとの公園河川課は忙しくなります。
要するに、公園と河川の両方を管理するのが主な仕事です!
上下水道課
水道には以下に記載の通り、2種類あります。
- 上水道は飲料水の水道
- 下水道は雨水や汚水を排出する水道
つまり、きれいな水が上水道で、汚い水が下水道と覚えておきましょう。
そして上下水道課はそれぞれの水道管を新しく繋いだり、古くなった水道管を入れ替えたりする工事を担当します。
あとは道路工事などで上下水道が邪魔になることがあるので、その際の移設なども検討するのが上下水道課の職員の業務です。
都市計画課
都市計画課は、あなたが勤務する町の都市計画を担当する部署です。
つまり町を今よりもっと良くすることを検討していくのが仕事になります。
- どこに公園を作るべきか?
- 下水道はどのように設置すべきか?
- どんな建物があれば便利か?
これらは行政機関が勝手に決めるわけではなく、住民の意見などを参考に計画を立てていくのです。
要するに、住民が暮らしやすい町作りをするのが都市計画課の職員です!
市街地整備課
市街地整備課は、土地区画の整理を担当する部署です。
簡単に言えば、先述した都市計画課が計画した工事を実施していく仕事ですね。
市街地や公共施設などを整備したり、無駄な宅地を減らすことが主な仕事内容と言えます。
このように公務員は市の職員として、住民の生活の基盤を支える重要な業務を担当します!
土木の公務員にはこんな仕事内容もある
ここまで紹介してきた土木の公務員の仕事内容と部署は、あくまで市役所で働く地方公務員のことです。
でも、2022年から土木の公務員として働く僕の友人の仕事内容は少し違います。
なぜなら市役所や県庁に勤務するわけではなく、県が運営する土木の専門学校の先生だからです。
ここからは、土木公務員の友人の仕事内容も紹介します。
「こんな仕事もあるのか」と、参考程度に見てみてください!
土木の学校なので当然ですが、学生に土木を教えるのが主な仕事内容です。
具体的には、以下の授業をしています。
- 測量
- 写真整理などのパソコン業務
- 2級土木施工管理技士の試験対策
友人は民間企業での経験が約7年あり、民間で学んだ知識や技術を活かし、学生たちに教えています。
もちろん授業以外にも、学校行事の準備や後片付けなど仕事内容はたくさんあって大変です。
でも昔から指導員になりたかったようで、やりがいを感じながら仕事ができているようですね。
他の記事で解説されている公務員の仕事は、大半が市役所での勤務が前提の仕事内容ばかりだと思います。
ですので「少しは参考になるかな」と思い、紹介させていただきました。
これから土木の公務員を目指す方は、「土木系の専門学校の先生という公務員の道もある」と知っておいて損はしないでしょう。
指導員免許なども取得する必要もあり、土木の公務員の中でもレアな仕事内容だと思います。
土木の公務員のメリット3つ
ここまでは土木の公務員の仕事内容や部署名を紹介してきました。
市役所には、さまざまな土木部署がありましたね。
部署によって工事分野に多少の違いはありますが、「計画を立てて民間企業へ発注する」という基本的な仕事内容は同じになります。
あと2022年に民間から土木の公務員へ転職した、僕の友人の仕事内容も軽く紹介しました。
もし魅力を感じたなら、土木の公務員を目指すのもありだと思います。
そこで、ここからは友人から聞いた話を参考に、土木の公務員のメリットを紹介していきます。
土木の公務員のメリットは、以下の3つです。
- 休みが多い
- 収入が安定する
- クビになる心配がほぼない
では順番に解説します。
休みが多い
土木の公務員のメリット1つ目は、休みが多いことです。
実際、公務員は他の職種と比べて圧倒的に休日数が多くなります。
なぜなら完全週休2日制な上に、祝日も必ず休めるからです。
まさに学生と同じく、カレンダー通りに休めるのですね。
もし、民間で土木をやるなら基本的に休みは日曜日しかありません。
要するに、公務員は民間より年間休日数が2倍以上はあるでしょう。
この休みが多いのは、民間にはない公務員の嬉しいメリットだと思います!
収入が安定する
メリット2つ目は、収入が安定することです。
そもそも公務員の給料は、税金から支払われています。
要するに、国民に納税する義務がある以上は公務員の収入源が確保されているも同然なのですね。
だからこそ毎月の月給だけでなく、賞与までも安定してもらうことができます。
つまり民間とは違い、売り上げなんて関係ないので給料や賞与がカットされることはありません。
確かにこれまでは、民間でも「正社員なら安定」と思われていました。
でもトヨタ自動車の宣言で、終身雇用制度が崩壊したことや2020年のコロナ渦でそれは幻想となったのではないでしょうか?
その証拠に、民間では容赦ないリストラが行われています。
もう、民間で働く以上は収入が安定する時代ではないのかもしれません。
でも公務員は、世の中の動きに関係なく収入が安定するので、そこはメリットでしょう!
クビになる心配がほぼない
メリット3つ目は、クビになる心配がほぼないことです。
先述したように、民間ではこれまでの常識が壊れつつあります。
まさに、いつクビになるか分からないので、正社員でも安心できません。
しかし、公務員は法に触れる行為をしない限りクビになる心配はないのです。
併せて勤続年数と共に、出世もできるので社会的な地位も確保しながら定年まで働けます。
つまり公務員は最低でも、定年まではクビになる心配がありません!
土木の公務員のきついところ3つ
公務員には、魅力的なメリットがあるのは確かですが、当然きついところもあります。
ここからは土木の公務員のきついところを紹介します。
きついところは、以下の3つです。
- サービス残業が多い
- クレーム処理が大変
- 民間の土木より年収が安い
では1つずつ解説します。
サービス残業が多い
土木の公務員のきついところの1つ目は、サービス残業が多いことです。
「公務員は毎日定時で帰れる」というイメージがあるかもしれません。
でも実際は、仕事量が多いため毎日サービス残業しています。
ちなみに僕の友人も平均すると、毎日1時間以上は残業しているようです。
市役所の場合も、繫忙期であれば残業は当たり前です。
そんなわけで、公務員は土日祝はしっかり休めますが、平日はサービス残業が多いのがきついと思います!
クレーム処理が大変
きついところの2つ目は、クレーム処理が大変ということです。
実際、市役所には毎日のように住民からクレームの電話が殺到します。
中には、あまりにも理不尽なクレームが来ることもあるそうです。
本当に必要な意見を言ってくるならいいですが、わがままでしかないクレームの相手は疲れるでしょうね。
しかし公務員と住民では、あくまでも住民のほうが立場は上になります。
なので真摯な対応をしないと、さらにクレームが来るでしょう。
どんなに腹が立っても謝るしかないのは、かなり精神的にきついですよね。
ただ実際は、公務員になれたことに嫉妬しているだけだと思うので、そこまで気にする必要はないと思います!
民間の土木より年収が安い
きついところの3つ目は、民間の土木より年収が安いことです。
公務員は民間より休日も多いですし、安定して昇給もします。
でも、全体的に年収が安い傾向にあるのですね。
ちなみにアガルートアカデミー様の発表では、賃金の高い東京都でも公務員の平均年収は以下となっています。
- 国家公務員で約671万円
- 地方公務員で約632万円
あくまでも平均なので、20代のうちは平均年収を大きく下回るでしょう。
つまり、ある程度は長く働いて、ようやく平均年収に届くくらいということです。
しかも地方で高卒となれば、さらに安いと思います。
公務員は年功序列ですので、資格を取ったり、大きな成果を出して一気に昇給することは無理なはずです。
でも民間であれば、努力次第で給料が大幅に増えることはあります。
だからこそ、公務員の年収は民間に比べて安くなることが多いのです!
土木の公務員になるには?
公務員も、完全にホワイトな労働環境ではありません。
きついところを踏まえても、「土木の公務員になりたい」と思う方はチャレンジしてみましょう。
そんな方に向けて、最後に土木の公務員になる方法をお伝えします。
簡単に言うと、公務員になるには公務員試験に合格すればOKです。
でも新卒で就職する場合と、民間から転職する場合では、受ける公務員試験が違います。
以下で「新卒の就職」と「民間からの転職」それぞれの受験方法を解説します。
ぜひ参考にしてください!
新卒で就職する場合
まずは新卒で就職する場合からいきます。
結論、新卒で公務員に就職するには、大卒程度一般枠という公務員試験を受ける必要があります。
こちらは、若い方を対象とした公務員試験なので、厳しい受験条件はありません。
要するに、民間での経験などは不問ですから、基本的に20代の方であれば受験が可能です。
試験内容は、以下に記載の通りです。
- 教養
- 論文
- 専門
- 面接
民間から転職する場合
民間から土木の公務員になるには、主に経験者採用枠の公務員試験を受けることになります。
この試験は、民間企業での土木経験がある方を公務員として採用するための試験です。
ただし民間での経験があっても、20代なら先述した大卒程度一般枠で受けることもできます。
経験者採用枠の試験は、経験が重要視されるため年齢上限は緩く、多くの自治体では59才まで受験可能としています。
なので民間企業で働いた経験が5年以上あれば、誰でも公務員を目指せるということです。
それでは、経験者採用枠の試験内容を以下に記載します。
- 教養
- 経験論文
- 職務論文
- 面接
ただし公務員試験の受験資格や対象者は、自治体によって違います。
そのため、試験への申し込みをする前に、自治体に問い合わせをしたりと確認することを推奨します!
土木の公務員の仕事内容【まとめ】
もっと詳しく土木の公務員の実態を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
本記事では、土木の公務員の仕事内容について解説してきました。
一般的に土木の公務員の仕事内容は、土木工事の発注と現場の管理・維持です。
要するに、土木工事の監督業務を行います。
つまり現場で汗だくになって作業するわけではなく、書類の作成などデスクワークがメインです。
そして市役所には、いろんな土木部署があります。
- 道路維持課
- 道路建設課
- 公園河川課
- 上下水道課
- 都市計画課
- 市街地整備課
公務員は休日数も多いですし、定年まで収入も安定するなど民間にはない魅力的なメリットはあります。
でも良いことばかりではなく、サービス残業が多かったりと楽な仕事ではないので、そこは勘違いしないようにしましょう。
そもそも完全にホワイトな職場なんてなく、どの仕事にもきつい部分はあるということです。
しかしコロナ渦で民間がパニックになっている昨今で、安定した公務員に就職するのは十分ありだと思います。
本記事が土木の公務員を目指す、あなたの助けになれば幸いです!