土木転職サポートブログの英太です。
本記事では、「ゼネコンを中心に導入されている建設テック」について解説します。
ところで建設テックについて、正しく理解しているでしょうか?
また、「ゼネコンではどんな建設テックが導入されているのか?」も気になりますよね。
建設テックは、IT技術の活用により建設業の業務効率化を目的としています。
ひと昔まえなら考えられなかったことですが、今はITで業務の効率化や負担を軽減できる時代です。
それでも建設業界には、未だに昭和と同じ方法で仕事をさせる企業が多いのが実態です。
でも今後は建設テックに馴染んでいかないと仕事をする際に無駄な手間をかけてしまったり、時代の流れに遅れてしまうかもしれません。
そこで本記事では、日本でもトップクラスのゼネコンで導入された建設テックの事例をお見せします。
さらに、建設テックの導入で土木業界が得られるメリットもお伝えしましょう。
土木歴が10年あり、新卒では昭和の匂いがプンプンするブラック企業で働いていた僕の実体験をもとに解説するのでぜひ参考にしてください!
ちなみに「建設テックは分かったからゼネコンに転職したい」という方は、下記の記事を参考に転職活動をしてみましょう。
こちらの記事では、超簡単な土木業界への転職方法を具体的に解説しています。
建設テックとは?【目的は業務の効率化】
建設テックとは、建設とテクノロジーを掛け合わせた造語です。
別の言い方として、コンテックや建設DXとも呼ばれます。
コンテックの場合は建設を英訳した「Constraction」と技術を英訳したテクノロジー「Technology」を掛け合わせています。
そして冒頭でお話したように建設テックが示すのは、建設業界におけるIT技術の活用です。
IT技術を活用し、業務の効率化を狙うのが主な目的です。
建設テックの目的やメリットは、本記事でたっぷりと解説するので安心してください!
ちなみに、アメリカでは建設テックがどんどん実現されています。
アメリカは、最新の技術の導入も日本に比べて早めです。
またアメリカにはゼネコンがなかったりと、日本の建設業とは大きく違う点もあります。
詳細は海外の土木作業員という記事を参考にしてください。
ゼネコンの建設テック導入事例2つ
日本ではゼネコンを先頭に、建設テックの導入が進んでいます。
そこで国内トップクラスの大手ゼネコンが、建設テックを導入した事例を見ていきましょう。
では順番に紹介します。
【鹿島建設】自動搬送システム
最初に紹介するのは、鹿島建設さまが導入したセグメント自動搬送システムです。
このセグメント自動搬送システムは、主にシールドトンネル工事で活用されています。
そこで主に以下を目的に、セグメント自動搬送システムを導入しました。
- 安定した搬送サイクルの確保
- 安全性の向上
- 人員の削減
近年のシールドトンネル工事は、長距離化や高速施工が進んでいるため、搬送サイクルの安定は欠かせません。
しかしトンネル工事には切羽から岩が落下するなどの危険もあるので、安全の確保もする必要があります。
つまりトンネルの中に多くの作業員を入れてしまうと、それだけ危険も増すということです。
そこで自動で搬送してくれるシステムの導入で、作業を効率化できた上に安全性も確保できたのです。
詳細は鹿島建設さまの公式サイトをご覧ください!
【竹中工務店】建設ロボット
竹中工務店さまでは、建設ロボットを導入しました。
BIMデータ、つまりパソコン上に建築物の立体モデルを作成し情報を連動できるので、施工管理の業務のあらゆる場面で活用できます。
クラウド上で多数の建設ロボットを操作・監視もできるため、現場にいなくても作業が可能です。
もちろん資材の搬送や清掃も行えるので、作業の効率化と併せて人件費も削減できる優れものです。
つまり今までは、人間がやっていた業務を今後はロボットに任せる時代になるかもしれません。
これだけ機能が優れた建設ロボットの導入が当たり前になれば、人間が軽作業を行う必要もないでしょう。
建設ロボットについての詳細は竹中工務店さまの公式サイトを参考にしてください!
建設テックで土木業界が得られるメリット3つ
確かに、まだまだ全体的に建設テックの導入率は高くありません。
しかし前項で紹介した事例のように、ゼネコンでは建設テックの導入がどんどん実現されています。
実際、建設テックが普及すると土木業界は以下3つのメリットが得られます。
では順番に解説します。
業務の効率化ができる
建設テックで土木業界が得られるメリットの1つ目は、業務の効率化ができることです。
正直、これが1番のメリットになると思います。
なぜなら、今まで手作業で時間をかけて行っていた仕事をIT技術により行えるからです。
実際、先ほど紹介した「自動搬送システム」や「建設ロボット」を見れば一目瞭然でしょう。
自分で資材を運んだり、清掃したりするのは時間も手間もかかります。
なので任せられる仕事はAIに任せて、その間に重要な業務を進められるので効率化に繋がるのは言うまでもありません。
他にも昔の土木業界では、現場の測量をしたあと、すべて手計算でデータを出していました。
それが今では測量したデータをパソコンに入力し、ボタンを押すだけで現場に必要な情報を算出できます。
このように建設テックの導入で、業務の効率化が最大限になります!
人手不足にも対応
2つ目のメリットは、人手不足にも対応できることです。
実際、今の土木業界は深刻な人手不足に悩んでいます。
つまり人手が少ないことで、作業員1人の負担が増えたり、現場監督が自分で清掃などをするのが実態です。
それでは、必要以上に手間と時間がかかってしまうでしょう。
しかしアルバイトがやるような軽作業なら、建設テックで代用できるため人手不足にも対応できます。
加えて、人件費の削減にも繋がります。
要するに業務の効率化は、人手不足にも対応が可能ということです!
感染症のリスクを軽減
3つ目のメリットは、感染症のリスクを軽減できることです。
2020年に新型コロナウイルスが流行して以降、対面での打ち合わせやオフィス勤務がしづらくなりましたよね。
確かに今はマスクの着用が個人の判断に任せるようになったりと、徐々に落ち着いてきています。
それでもコロナ渦が世の中に与えた影響は大きいので、感染症にかかる恐怖を持ち続ける方も多いでしょう。
まだマスクを外せない方が約8割なのが、その証拠だと思います。
そこで建設テックを活用した「チャットでのミーティング」などで、人との対面を少しでも減らすことで感染症のリスクを軽減できます。
またクラウド上で作業の報告ができるアプリもあるので、わざわざ人が密集しているオフィスに顔を出す必要もありません。
そのように建設テックで、人と対面する機会を以前より減らすことが可能です。
以上が建設テックにより、土木業界が得られるメリット3つでした!
飲食店でもタブレット端末で注文するなど、IT技術をどんどん活用しています。
その結果により、業務の効率化や人件費の削減ができているでしょう。
つまり、同じことが土木業界でも起きているということです。
建設テックの市場規模は?
建設テックの市場規模は右肩上がりになっており、非常に多くのお金が動く業界です。
ちなみに総市場については、以下のように発表されています。
また大手企業の建設テックへの投資件数も、ここ数年で5倍以上アップ中です。
実際に「どんな仕事に建設テックを導入しているか?」は、下記の表を参照してください。
「写真・図面管理」と「文書作成・管理」に建設テックが、断トツで導入されていることが分かりますね。
さらに2020年から2022年にかけて、施工管理への導入もきれいな右肩上がりになっています。
このように建設テックの市場規模は非常に大きく、これからも伸びていくことが予測できるでしょう!
建設テックで効率化できる業務一覧
復習すると建設テックは、建設業界にIT技術を活用することです。
そして、業務の効率化や人件費の削減を狙うことが主な目的でした。
でも土木業界で、すべての業務を建設テックで補うのは難しいでしょう。
なぜなら建設現場では高い専門性や応用が必要なため、ロボットだけで完結するのは不可能だからです。
つまり最低限は人間の手で作業をして、人間の目で確認する必要があります。
そんな中で建設テックにより効率化ができる業務を一覧で記載するので、参考になれば幸いです。
では1つずつ解説します。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントは、つまり施工管理の業務全体を指します。
担当の現場を無駄なく完成させ、利益を出すために必要なことを管理するのが施工管理の責任です。
ここは施工管理向けのアプリを利用すれば、現場に関わる方たち全員が情報を共有できるので、
- 進捗状況
- 連絡事項
- その日の作業報告
無駄な作業やトラブルを防止するためにも、上記は重要なプロジェクトマネジメント業務です。
この膨大にある現場データを一元化するのも、建設テックの導入で可能になります!
予算の管理
大きい現場なら、億単位で予算の管理をすることもあります。
つまり大量の見積書や請求書が発生しますが、それをすべて手計算するなら膨大な時間と手間がかかります。
当然、計算ミスなども発生するでしょう。
しかしソフトの導入で、予算の管理を大幅に短縮可能です。
ログインしてすぐに予算と実績が一目で分かるソフトもあるので、建設テックの導入で膨大な計算にかかる手間と時間を軽減できます!
工程管理
工程管理は名前の通り、納期までに工事が完成するように工程を管理することです。
ちなみに工程管理は、現場の進捗状況と工程表を照らし合わせて管理します。
その工程表は、主に以下の5種類です。
- バーチャート工程表
- ガントチャート工程表
- グラフ式工程表
- ネットワーク工程表
- 曲線式(出来形曲線)工程表
従来はエクセルで管理するのが主流でしたが、1つひとつの項目を手で入力していたため当然ながら手間もかかっていました。
しかし工程管理も建設テックにより、専用の工程管理システムで高度な管理に加えて、労力の短縮も可能になりました。
そのような専用の工程管理システムも、どんどん開発されています!
詳細は、下記の記事を参考にしてください。
上記の記事では、土木工事の工程管理について解説しています。
5種類の工程表の特徴や工程管理システムも詳しく紹介しているので、興味があればどうぞ。
図面の管理
パソコンが普及していない頃は、図面の作成もすべて手書きでした。
つまり工事に必要なデータも手計算して、定規などを使って手で図面を書いていたのです。
さすがに今はそんなことはせず、CADというパソコン上に図面が書けるソフトを使用します。
そして、問題はここからです。
最近も図面の管理は、紙媒体で行っていました。
要するに、現場で紙の図面を広げて設計や出来高をチェックするのが普通でした。
しかし、それにはデメリットがあります。
- 現場で大きな図面を広げるのは面倒
- 雨で濡れてしまう
今は建設テックの活用で、図面の管理がスマホやタブレットで可能になりました。
それなら現場でわざわざ図面を広げる必要もないですし、雨で濡れて使い物にならなくなる心配もありません。
さらにクラウド上で管理することで、下請け業者との共有もできます!
工事写真&書類の作成・管理
工事写真を含めた書類の作成や管理も、建設テックで効率化できる業務です。
先ほども紹介したように、「写真・図面管理」と「文書作成・管理」のために建設テックに投資する企業が圧倒的に多かったですよね。
実際、ゼネコンに就職すると施工管理技士として写真を撮って管理したり、書類の作成が主な仕事になります。
つまり建設テックは、施工管理の仕事を効率化させるために導入すると言っても過言ではありません。
ここまで紹介してきた、
- プロジェクトマネジメント
- 予算の管理
- 工程管理
- 図面の管理
上記は、いずれも施工管理の業務に該当します。
これらの業務は、すべて建設テックで効率化が可能ということです!
打ち合わせ
打ち合わせのために協力会社の方に来ていただいたり、逆にこちらから赴いたりするのは正直めんどくさいと思います。
でも昭和の時代なら、その手段しかなかったでしょう。
しかし今はチャットを利用すれば、会議もオンラインで行える時代です。
このオンラインで会議の実施は、コロナ渦をキッカケに多くの業界で導入された工夫です。
ただコロナウイルスが落ち着いてきた現在でも、打ち合わせはオンラインで行ったほうが効率的だと思います。
なぜなら、単純に手間がかからないからですね。
実際ZOOMやスカイプを使えば、複数人の打ち合わせもできます。
さらにアプリの共有で、連絡事項を現場のすべての関係者に伝えることも可能です。
なので、打ち合わせも建設テックで効率化できる業務の1つと言えるでしょう!
ベンチャー企業でも建設テックを推進
ここまで、「ゼネコンを中心に建設テックが導入されている」というお話をしてきました。
大手のゼネコンほど予算にも余裕があるので、建設テックへの投資もしやすいのが理由だと思われます。
でも「ゼネコン以外は建設テックがまったく導入されていないのか?」と言うと、そんなことはありません。
ベンチャー企業でも建設テックの推進が始まっています。
実は「建設業界が抱える課題を建設テックで解決を目的」に、ビジネスをするベンチャー企業が多いのですね。
ちなみにベンチャー企業は、従来の方法や考え方とは違う新しいサービスや仕組みで価値を提供するスタートアップ企業とも呼ばれます。
たとえば、2007年に設立された滋賀県草津市にある「人機一体」という企業は、ロボットを活用することで以下を目指しています。
- 過酷な肉体労働の根絶
- 危険な場所での作業をなくす
つまり工事現場で、最も弱い立場の軽作業員を守るためのビジネスです。
詳細は、こちらの日経クロステックさまの記事を参照してください!
このように、建設テックをビジネスに活用するベンチャー企業も増えているということです。
運営歴が長い企業ほど、従業員の高齢化が進んでいます。
つまりITに慣れていない世代ばかりが働いているので、建設テックを活用して業務の効率化を狙うのは苦手でしょう。
そして、そのような企業ほど高齢化や人手不足の問題を抱えています。
だからこそベンチャー企業は、建設テックの提供により、その問題を解決できる強みがあるのです。
建設テックに転職するには?【ゼネコンorベンチャー企業】
建設テックに転職するなら、ゼネコンorベンチャー企業がおすすめです。
その理由は、予算に余裕があるゼネコンほど建設テックに投資しているからです。
また問題を抱える建設会社へ、ビジネスとして建設テックを提供するベンチャー企業も多くなっています。
ですので、IT技術を活用した建設テックへの挑戦はゼネコンorベンチャー企業への転職を目指しましょう。
なお建設テックへの転職は、転職サービスに相談することで成功する確率がアップします。
なぜならハローワークとは違い、転職のプロが徹底的に支援するからです。
つまり、今は転職活動もIT技術で行う時代です。
そこで最後に、建設テックへの転職におすすめの転職サービスを3つ紹介します!
ベンチャー企業の求人多数【KSキャリア】
1つ目に紹介するのはKSキャリアです。
KSキャリアは建設業界への転職に強みがあり、施工管理の求人に特化した転職サービスです。
そしてKSキャリアには、ベンチャー企業の求人が多数掲載されています。
加えて、業界を熟知したアドバイザーのサポート付きです。
サービスの流れとして求人の紹介から始まり、内定を獲得するまで徹底サポートしてくれます。
なので、まずは「建設テックの導入が進んでいる企業で働きたい」と相談してみましょう。
そうすれば、あとは求人が紹介されるのを待つだけになります。
またベンチャー企業の他にも、
- 上場企業
- 土日休み
- 転勤・残業なし
- 年収800万円以上
こんな待遇の求人が掲載されているので、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください!
KSキャリアの公式サイトは、下記からアクセス可能です。
業界のプロがサポート【RSG】
2つ目に紹介するのは、RSG Construction Agentです。
RSG Construction Agentは、完全に建設業界を専門とした転職サービスです。
業界出身のアドバイザーが、求職者の1人ひとりに付くので心強いでしょう。
つまり業界出身なので、建設業界の市場もよく理解していますし、求人を掲載する企業へ定期的に取材も行っています。
そのため「最近〇〇の企業が建設テックを導入した」など、濃い情報も持っているかもしれません。
しかもRSG Construction Agentはサポートが充実しており、その有用性はTVで紹介されたほどです。
なので建設業界への転職なら、ゼネコンでもベンチャー企業でもRSGに相談すれば間違いはないでしょう!
利用者の99%以上が年収アップにも成功しているので、その実績を公式サイトで確認してみてください。
RSG Construction Agentの公式サイトは下記からどうぞ。
20代の転職に強い【マイナビ転職AGENT】
最後に紹介するのは、マイナビ転職AGENTです。
マイナビ転職AGENTは、20代の転職には非常に強みがあります。
国内でも有名な転職サービスなので、企業からの信頼もバツグンです。
信頼がバツグンだからこそゼネコンもベンチャー企業も、いくらでも求人があるでしょう。
20代は、これからまだ何でもできる年齢なので幅広い求人を見てみるのも悪くないと思います。
ここからの流れは、KSキャリアとRSG Construction Agentと同じです。
転職に希望する条件をアドバイザーに伝えて、ひとまず求人の紹介を待てばOKです。
経験豊富なアドバイザーが内定までサポートしてくれるので、初めての転職でも安心して利用できます!
なので20代の方は、KSキャリアやRSG Construction Agentと併せてマイナビ転職AGENTにも登録しておくと将来の幅が広がるでしょう。
下記からマイナビ転職AGENTの公式サイトへアクセスし、詳細をチェックしてみませんか?
まとめ
建設テックは、建設とテクノロジーを掛け合わせた造語です。
別の言い方として、建設DXや建設を英訳したConstructionとテクノロジーを掛け合わせてコンテックとも呼ばれます。
IT技術を建設業界に活用し、業務の効率化や課題を解決するのが建設テックです。
「鹿島建設さま」や「竹中工務店さま」などの日本トップクラスのゼネコンでは、どんどん導入しています。
建設テックの導入で、土木業界も「業務の効率化」や「人手不足への対応」などのメリットが得られるでしょう。
実際に施工管理の業務であれば、大半が建設テックで効率化できます。
またロボットが清掃などを代行してくれるので、軽作業員という建設現場では最も弱い立場もなくなっていくかもしれません。
しかし先ほども少し触れたように、土木業界の仕事のすべてをIT技術やロボットで完結させるのは不可能です。
なぜなら、工事の完成には専門的な技術が必要だからです。
なので、建設テックにより業務の効率化や労力の軽減ができるのは、下記の2点になります。
つまり本格的な施工や最終的な確認は、必ず人間の手と目で行う必要があります。
だからこそ、土木業界の仕事を100%建設テックに任せるのは不可能です。
その意味では、人間とIT技術がパートナーになって仕事をしていくのが土木業界と言えますね。
人間がやらなくてもいい仕事はIT技術に任せて、その間に本物のスキルを磨けば人生も効率的になるのではないでしょうか?
施工管理なら、いま流行っているテレワークもできる日が近いかもしれません!
詳細は、下記の土木業界でテレワークができる職種を引き続き参考にしてください。