土木転職サポートブログの英太です。
本記事は、震災時に活躍した土木技術について紹介します。
実際、震災時に「土木技術がどのように活躍するのか?」が分からない方も多いでしょう。
また復旧作業が、「どんな方法で行われているのか?」も気になりますよね。
そこで本記事では、土木技術を活かし東日本大震災で行われた復旧・復興の取組み事例を紹介します。
また記事の後半で、東日本大震災で学んだ教訓についても一緒に考えていきましょう。
本記事を読むことで、震災の被害を受けた町の復興に、土木が欠かせない理由が理解できます。
つまり、土木は天災後の復興に大活躍する仕事です!
「災害時に人の役に立つ仕事がしたい」という方は、ぜひ土木にチャレンジしませんか?
下記の記事では、失敗しない土木への転職方法を解説しているので参考にしてください。
東日本大震災で行われた復旧・復興の取組み事例
2011年3月11日の14時46分頃に、東北地方で東日本大震災が発生しました。
僕が住んでいる青森県も、今まで経験したことのないほどの大きな揺れだったのを覚えています。
青森県は数日間の停電だけで済みましたが、岩手県・宮城県・福島県の太平洋沿岸市町村では大津波により多くの方が犠牲となりました。
大きな爪痕を残した東日本大震災ですが、その後どのように復旧・復興が行われたのでしょうか?
まずは、東日本大震災で行われた復旧・復興の取組み事例を紹介します。
ちなみに、この取り組み事例は日本建設業連合会さまが公開されている資料を参考にさせていただきました。
普段から行われている土木工事が大活躍しているので、そこに注目してご覧ください!
水中バックホウで防波堤復旧
最初に紹介するのは、水中バックホウにより防波堤を復旧させた事例です。
つまり、津波により被災した仙台港の防波堤の復旧になります。
防波堤を作るには水深部に基礎を設置する必要があり、本来なら潜水士が施工しますが水深部なので当然ながら時間もかかります。
しかし水中バックホウを搬入したことで、施工期間を大幅に短縮できたのです。
バックホウは土木工事では定番の重機で、日常的に陸では大活躍します。
このように水中でも、どんどん導入できれば震災のあとの復旧工事もスムーズに進むでしょう!
浚渫工事で水路の復旧
次は浚渫工事により、水路を回復させた事例です。
ちなみに浚渫工事とは、海底の土砂をすくい取る工事のことです。
津波が発生すると土砂はもちろん、瓦礫など多くの物が流れてきて水路を塞いでしまいます。
つまり津波により、塞がれてしまった水路を復旧させるにあたって浚渫工事が活躍した事例になります。
実際、浚渫工事は震災時だけでなく、日常的に行われている土木工事です。
まさに土木工事が、そのまま復旧作業に活きた事例と言えますね!
防潮堤の仮復旧
防潮堤とは、台風時の高波や震災時の津波を防ぐための堤防です。
ですが東日本大震災で発生した津波の強さは想像以上だったため、この防潮堤までも破壊してしまいました。
そのため鋼矢板・消波ブロック・大型土のうを組み合わせ、防潮堤の仮復旧を行ったのです。
資材不足が心配されましたが、下記により対応できました。
- メーカーの迅速な協力
- 現場発生材の再利用
- 作り置きの製品を活用
あくまでも仮復旧でしたが、施工から約1年半が経過しても機能の低下は見られなかったようです!
法面の補強
東日本大震災で、ある工場の敷地内にあった法面に変状が見られました。
この法面には重要な設備と配管があるため、復旧と併せて法面の補強が必要でした。
そこで行った工法が以下2つです。
- 補強盛度+ロックボルト
- 盛土の撤去+補強盛土
東日本大震災は揺れが長時間だったことから、盛土の補修や補強の要請が多かったようです。
つまり、今回の作業も盛土の案件に該当します。
法面工事においてロックボルトは基本的に使用しませんが、このケースは重要性の高い工事だったため採用されました。
その結果として、発注者から「法面が安定した」と評価をいただけています!
緊急資材の配給
町が崩壊してしまったことで、被災地では燃料の調達に苦しんでいました。
そんなとき建設業界でもトップである株式会社フジタさまが、自前の燃料調達ルートを開拓し仮設給油所を設置したのです。
そのおかげで被災者の方々に、燃料を供給できました。
実際、救急車に給油できたことで「命が助かった」と感謝をされたそうです。
普段は当たり前のように、ガソリンや軽油は給油できますよね。
しかし震災時は、燃料の調達すら困難になる場合があります。
なので緊急時の調達ルートは、常に確保しておく必要性を学べたと思います!
横ずれした橋の復旧
大きな揺れにより、東北新幹線が走行する橋が横ずれを起こしました。
あれだけ頑丈に見える橋が横ずれを起こすなんて、地震の怖さを改めて感じますね。
そこで早めに新幹線の運転を再開させるためにも、短期間での復旧が求められたのです。
そして下記の作業により、わずか1週間で復旧が完了しました。
- 桁のジャッキアップ
- すべり支承による横移動
- ジャッキダウン
1週間で完了したのも、普段から磨いている橋梁工事の技術があったからこそです。
加えて、主要な部材はなるべく再利用したことも最短で復旧できた要因と言えるでしょう。
損傷した部分は少し目立ってしまいますが、復旧工事はスピードが求められるので仕方がないと思います!
グラウンドアンカーで護岸を補強
福島県にある既設護岸は、地震・津波の影響で前面に大きく変位したのです。
これを以下2つの土木技術によって、護岸の復旧と併せて補強もしました。
- グラウンドアンカーで補強
- 捨石で根固め
グラウンドアンカーの打ち込みは、バックホウにスキットを艤装することで護岸上から施工できています。
もし前述した水中バックホウを使用するなら、海象に大きく左右されるので、施工期間も長くなるでしょう。
しかし護岸上からの施工が可能になったため、海象条件の影響を受けることなく復旧工事が進みました。
加えて捨石で根固めしたことで、より丈夫になり護岸も回復しています!
プレハブ小屋で仮設の診療所を設置
東日本大震災の発生から2週間後にプレハブ小屋を6棟ほど搬入し、仮設の診療所を設置しました。
ちなみに、こちらの診療所はイスラエルの政府が派遣してくれた緊急医療部隊の活動拠点となりました。
要するに東日本大震災は、国際問題になるほどの大きな災害だったと言えますね。
でもイスラエルの支援のおかげで内科や産婦人科、小児科など8科の診療ができ、避難生活をしていた方の緊急時への対策ができたのです。
土木工事では、作業員の休憩所や現場事務所としてプレハブ小屋を頻繁に使います。
つまり、プレハブ小屋の手配や設置には非常に慣れているのですね。
普段の土木工事で行っている何気ないことが、被災地の方の役に立った事例と言えるでしょう!
国道に大きな橋を設置
岩手県の陸前高田市にあった気仙大橋は、津波の影響で橋の上部が被害を受け落橋しました。
この気仙大橋の通行が不可能になったことで、大型車両は震災後に最大70kmの迂回を余儀なくされ生活や復興への大きな障害となっていました。
だからこそ、地域の方から1日も早い橋の開通が求められたのです。
そこで導入された土木技術は、作業船を使用しての施工です。
この施工方法では、作業するための仮設の橋が不要になるので期間の短縮が期待できます。
しかし条件を満たした大型の作業船を確保するため、全国から調達する必要がありました。
つまり作業船の確保に苦労しましたが、その結果として当初の予定より約2ヶ月半もの工程の短縮に成功したのです。
予想以上に早く橋が開通され、発注者や地域の方に喜ばれたことでしょう!
双腕マニピュレータで瓦礫の撤去
最後に紹介するのは、双腕マニピュレータが活躍した稀な事例です。
双腕マニピュレータとは、腕が2つあるバックホウのことです。
この双腕マニピュレータで、ある施設内の瓦礫を撤去し整備を行いました。
しかし本来の土木工事で使用できる重機ではないため、実験も交えてのボランティアでした。
遠隔操作も可能ではありますが、まだまだ状況が予測できない現場での作業は危険なようです。
今後、安全性や正確性が増してくれば、双腕マニピュレータが土木工事の現場で活躍する日がくるかもしれません。
実際、双腕マニピュレータのおかげで震災の後片付けができ、現地のスタッフには感謝されています。
以上が東日本大震災で実際に行われた、復旧・復興の取組み事例10選でした。
なお、ここまで紹介させていただいたのは、日本建設業連合会さまが公開している事例から厳選したものです。
さらに詳しく復旧・復興の取り組みを知りたい方は、日本建設業連合会さまのサイトをご覧ください!
災害復旧は危険と隣り合わせの作業
ここまで読んでいただけると、土木技術と震災復興の関係性がお分かりいただけるでしょう。
実際、土木業界では、震災や台風で被害を受けた箇所の復旧工事が頻繁に行われています。
つまり新たな「まちづくり」をすることだけが土木工事ではないのです。
でも特に、災害復旧は常に危険と隣り合わせの作業であることを覚えておきましょう。
なぜなら、震災であれば余震が懸念されますし、台風の災害復旧なら道路や法面が崩落する危険もあるからです。
たとえば平成30年7月に発生した西日本豪雨では、河川の氾濫や土砂災害など大きな被害を受けました。
そして少しでも早い復旧のため作業は24時間体制で行われましたが、崩落の危険との戦いになったようです。
このような災害復旧は、安全が最優先です。
なので一定の降雨時には作業を中断したりなど、現場の作業員と緻密に連絡を取って作業が行われました。
繰り返しになりますが、災害復旧は危険との戦いです。
ですので、命をかけて災害復旧に取り組んでいる方には感謝しかありません!
【その他】災害時に活躍する土木技術
災害時に活躍する土木技術は、まだまだあります。
たとえばドローン測量などは、立ち入りが危険なエリアの測量に役立つ技術です。
この技術ではドローンで空中からレーザーを飛ばし、測量が行えます。
被災したエリアで、なおかつ立ち入りが危険な場合はドローン測量を行うことで、安全に地形の計測ができるのです。
そして被災前の地形と照らし合わせるなどして、復興の計画・設計へと繋がります。
もちろん、これまでの土木技術も震災の復興に大きく貢献しています!
そこからさらに、ドローン測量といった最新の技術も活用することで、より迅速な復興活動ができるでしょう。
東日本大震災から12年【教訓を活かそう】
本記事を書いているのは2023年の3月なので、東日本大震災から12年が経ちました。
この震災で、非常に多くの方が犠牲になりましたよね。
なので犠牲になってしまった方の命を無駄にしないためにも、東日本大震災で学んだ教訓を活かしましょう。
その意識を持つことで、震災時の被害の軽減ができると思います。
確かに自然の力には勝てないので、完全な防災や被害をゼロにするのは難しいかもしれません。
それでも「しっかり備える」ことで、救われる命があるでしょう。
たとえば衣服・食料・飲料水をリュックサックに詰めておいたり、日頃から避難経路を把握しておくだけでも違うはずです。
また、震災時に絶対やってはいけないことを子どもたちに伝えておくことも効果があります。
「地震が来たら海岸には近づかない」などですね!
そして土木業界も、普段から緊急時の調達ルートを確保しておくなどの教訓があったと思います。
土木技術は推進されているので、今後はさらに震災時に役立つ業界になるでしょう。
100%津波に負けない構造物を作るのは無理かもしれませんが、普段から気合いを入れて土木工事をすることが大切です。
まとめ
本記事は、「土木は震災後の復旧・復興にどう役立っているのか?」を紹介してきました。
土木業界は、よく災害復旧の工事を行っているので震災時も非常に役立ちます。
正直、土木のようなインフラ系の事業ほど災害時に頼りになる職種はないでしょう。
なぜなら普段やっている仕事が、そのまま復旧作業に繋がるからです。
先ほど紹介させていただいたように、浚渫工事や橋梁工事の技術が活きていますよね。
また仮設の診療所や避難場所として、プレハブ小屋を設置するのも土木業界なら朝飯前です。
このように土木は震災時の復旧・復興に大活躍します。
レスキュー隊のように人の命を助ける仕事と言っても、過言じゃないでしょう。
「土木はバカがやる仕事」という声もありますが、この職業を10年やってきた僕からしたらそんなことはないです。
逆に、バカではできないのが土木だと思います!
なので震災の復興に関わる仕事がしたい方は、ぜひ土木にチャレンジしてみませんか?
学歴は関係ないので誰でも目指せますし、スキルアップするほど年収も上がっていきます。
ちなみに、失敗しない転職方法は下記の記事で具体的に解説しているので参考になれば幸いです。
土木業界へデビューして、震災時のレスキュー隊の仲間入りをしましょう。
いまの土木は人手不足なので、未経験でも採用されやすくチャンスが山ほどある業界ですよ。
ちなみに当ブログは、土木業界についての情報を発信中です。
僕の土木歴10年の経験を活かし、未経験の方が土木のプロになれるような情報発信を心がけています。
なので本記事を読んでいただき、少しでも土木業界に興味を持てたなら、ぜひ今後も当ブログを読みに来てください。