土木業界は熱中症になりやすい職場に該当します。
そのため、作業中止にすべき基準を知っておいたほうがいいでしょう。
結論から言うと、熱中症のリスクが数字で分かるWBGT値(暑さ指数)を基準に作業中止の判断をします。
そこで本記事では、作業中止にするべきWBGT値について解説をしていきます。
またWBGT値から、熱中症を予防するための休憩時間の目安もお伝えしましょう。
さらに、現役の土木作業員の僕が現場で実際に行っている熱中症対策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
本記事を読むことでWBGT値について深く知ることができ、工事現場で正しい熱中症対策ができるようになります。
ちなみに本記事は、厚生労働省の労働基準局安全衛生部さまの資料を参考にさせていただきました!
熱中症は命に関わる重大な病気です。
なので自分の命やあなたの現場で働く方たちの命を守るためにも、ときには作業中止にすることも必要でしょう。
【熱中症を懸念】作業中止の基準はWBGT値に注目
冒頭でもお話したように、熱中症を警戒して作業中止にする際はWBGT値が基準になります。
WBGT値(湿球黒球温度)とは、Wet blue Glode Temperatureの略で暑さ指数のことです。
このWBGT値は、人の身体の熱に大きな影響を与える以下3つの指標を取り入れています。
ちなみに上記の数値の中で、最も大きな影響を与えるのは湿度になります。
なぜなら湿度によって、WBGT値の7割が決まるからです。
実際に気温が同じでも、湿度の違いで熱中症になり搬送される方が多くなった事例もあります。
このようにWBGT値を基準に作業中止の判断をしますが、算出方法は以下のように屋外と屋内で違います。
土木業界の場合は、屋外の算出方法を使用することが大半でしょう。
でも熱中症指標計という機械を使えば、WBGT値を自動で出してくれるので、算出方法を覚える必要はありません。
そうしてWBGT値の単位を℃で算出しますが、28℃(厳重警戒)を超えると、熱中症になる方が急激に増えています。
ちなみにWBGT値は熱中症の予防を目的に、1954年にアメリカで提案されました。
このようにWBGT値を基準に、現場での作業中止の判断をしていきましょう!
作業中止にすべきWBGT値
前項でお話したように作業中止の判断は、WBGT値を基準に行います。
そこで作業中止にすべきWBGT値ですが、ここはその日の仕事内容や人によるのが結論です。
上記により、現場の作業を中止にする基準が異なります。
ちなみに代謝率レベルとは、簡単に言うと「どれだけ汗をかく作業か?」です。
たとえばデスクに座って作業をするのと、炎天下の中スコップで穴を掘るのでは、汗をかく量が違いますよね。
つまりその日に行う仕事の内容で、代謝率が4つに区分されるのです。
詳しくは、厚生労働省の労働基準局安全衛生部さまの資料を参照ください!
資料を見ると、代謝率と「暑い中の作業に慣れているか?」により、WBGT基準値が分かると思います。
先述した方法でWBGT値を算出し、資料に記載されたWBGT基準値を4℃以上超過しているなら作業中止が望ましいです。
熱中症を予防するための休憩時間の目安
繰り返しますがその日のWBGT値が、資料に記載のWBGT基準値を4℃以上超過するなら作業中止の判断をするべきです。
しかし3℃以下であれば、熱中症に注意しながら作業は行ってもいいことになります。
それでも熱中症のリスクが高いのは変わりないので、こまめに休憩時間を取りましょう。
その休憩時間も、WBGT基準値を「どれだけ超過しているか?」が目安です。
目安は以下に記載の通りです。
なお上記は、猛暑の中の作業に慣れている方を基準とした1時間あたりの休憩時間の目安です。
もし夏場の作業に慣れていない方の場合は、この目安よりも多めの休憩時間が必要でしょう!
作業中止の判断は誰がするのか?
作業中止の判断は、現場監督である土木施工管理技士が行います。
なので、あなたが現役の現場監督、もしくはこれから目指していくのであれば、暑さにより作業中止にすべき基準を覚えておきましょう。
もし工事現場で作業員が熱中症になるなど、労働災害が発生したら現場監督が最も責任を問われます。
- 適切な休憩時間を与えていたか?
- 休憩時間の設備は十分だったか?
- 熱中症予防の教育は行っていたか?
上記のようなことを徹底的に調査されます。
現場で熱中症になった方を出してしまうと、会社の信用にも悪影響を与えますし、あなた自身も働きにくくなりますよね。
それくらい現場監督は、責任の重い仕事です。
だからこそ本記事でお伝えしたWBGT値を基準に、適切に作業中止の判断を行いましょう!
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現役の土木作業員が実施する熱中症対策
本記事は厚生労働省さまの資料を参考に、現場の作業を中止にすべき基準を紹介してきました。
特に土木は常に屋外で働くので、夏場は十分な熱中症対策が必要です。
そこで土木歴10年で現役の土木作業員の僕が、実際に現場で行っている熱中症対策を紹介させていただきます。
でも決して難しいことはしておらず、基本的な熱中症対策をしているだけです。
実際に僕が夏場に徹底している熱中症対策は、以下の3つです。
上記は超基本でありながらも、非常に有効な熱中症対策になります。
では順番に解説します。
こまめに水分補給をする
水分補給なしでは熱中症対策は不可能なくらい、基本的な熱中症対策です。
だからこそ喉が渇く前に、こまめな水分補給は必須でしょう。
ちなみに水分補給の際は、塩分が入ったスポーツドリンクを推奨します。
実際、熱中症になる主な原因の1つとして水分と塩分が奪われ、体液のバランスが乱れるからです。
だからこそ水だけを補給しても、熱中症対策としては不十分なのですね。
そこでスポーツドリンクを飲むと、水分と併せて塩分も同時に補給されるため効果的な熱中症対策ができます。
なので僕も夏場の工事現場では、ポカリスエットをよく飲みます!
ポカリスエットは超有名なスポーツドリンクですし、水よりも体液に近い飲料なのでおすすめです。
休憩時間を多く取る
本記事でも、熱中症を予防するための目安となる休憩時間を紹介しました。
僕も夏場は、本当に休憩時間を多く取っています。
土木業界の場合、会社の就業規則では休憩時間は10時からと3時からで、それぞれ15~30分ほど設けられているはずです。
でも夏場なら、午前と午後で休憩時間が1回しかないのは、正直少なすぎると思います。
先ほど紹介したように比較的涼しい地域でも、1時間に1回は必要でしょう。
なので夏場は特に会社の就業規則に関係なく、休憩時間を多めに取ることが必要です。
僕は疲れたら勝手に休んでいます!(笑)
熱中症対策グッズを揃える
今は、土木業界で働く方のための熱中症グッズが豊富にあります。
そのような熱中症グッズも、必要であれば揃えていきましょう。
ちなみに僕はメッシュ入りの作業着が涼しくて、夏場の仕事アイテムになっています。
他にも、作業中に体温を下げてくれる熱中症対策グッズがたくさんあります。
ワークマンなど近くのお店で購入できて、値段も1,000~5,000円くらいと非常にお買い得です。
詳しくは、下記の土木の熱中症対策の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。
こちらの記事では、万が一熱中症になったときの応急処置も紹介しています。
あなたや周りの方の命を救うためにも、ぜひ読んでおきましょう!
まとめ:熱中症の危険があるときは作業を中止しよう
確かに工事現場には工程があるので、作業を中止すると現場が遅れるかもしれません。
しかし言うまでもなく、1番大事なのは安全と健康ですよね。
だからこそ熱中症の危険が予測されるときは、勇気を出して作業中止の判断をしてください。
本記事では熱中症を予防するため、作業中止にするべき基準を紹介してきました。
作業中止の判断は、WBGT値が基準です。
現場でWBGT値を測定し、厚生労働省の労働基準局安全衛生部さまの資料に記載されたWBGT基準値の超過数に注目しましょう。
もし4℃以上超過する場合は、作業中止が望ましいです!
でも3℃以下なら、以下の休憩時間が目安となり熱中症に注意しながら作業はできます。
ただし上記はあくまでも目安で、猛暑の中の作業に慣れていない方の場合は、もっと多く休憩時間を取る必要があります。
その現場、その方に併せた熱中症対策をすることが、現場監督の仕事です。
本記事を読んでいただいたことで、あなたの現場で熱中症になる方が1人でも少なくなれば幸いです。
もちろん、どんなに注意しても熱中症になってしまうことはあるでしょう。
そんなときでも正しい応急処置の方法を知っていれば、あなたのおかげで助かる方がいるかもしれません。
いざというときのために、下記の土木の熱中症対策の記事を読んで、最低限の応急処置も知っておいてください。
なお当ブログは、土木歴10年の僕が運営しています。
この10年で、
- 現場監督
- 重機オペレーター
- 土木作業員
つまり、工事現場に関わるすべての職種を経験してきました。
そんな僕が土木業界で働きたい方に向けて、転職方法や業界の実態をお伝えしています。
そこで失敗なしの土木業界への転職方法を下記の記事にまとめたので、参考までにご覧ください。
あなたが土木に少しでも興味があったり、もしくは既に働いているなら、今後も当ブログを読みに来ていただければ嬉しいです。
土木業界での、キャリアアップや労働環境を改善するための転職のアドバイスもさせていただいているため参考になると思います。